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KUBOKI

インタビュー

2017年、メークのトレンドはどのように変わると予想しますか?

  同じアイテムをチークとリップに使ったり、あえてラフに色づけしたり、これまでのメーク傾向はどちらかというとカジュアルでした。けれども今年は、ひと手間かけて作った、もう少し大人っぽいメークが評価されるようになると思います。なぜなら、そのひと手間が「品」を生み出し、日本人女性がもつ世界に誇れる美しさをより一層、引き立てるから。品があるものに惹かれるのは、歴史や文化の壁を超えた、世界共通の感覚。けれども、品は何もせずに生まれるものではありません。僕は仕事を通して、男女を問わず、品のある美しい人にたくさん出会ってきました。そして、誰もが陰できちんと努力をしています。努力の対価が品や美しさであり、ラクをしたらそれなりのものしか得られないというのが、僕の経験談です。カジュアルがNGという話ではなく、カジュアルでもナチュラルでもエレガントでも、今年はひと手間を積み上げて生まれる“品”が美醜の分かれ目になると思います。

  そうお話しすると、メークが億劫に思われるかもしれませんね(笑)。でも、加えるのはたった“ひと手間”でいいんです。

例えば、リキッドファンデーションを塗った後、輪郭側だけツヤを抑えるフェースパウダーを重ねてみてください。すると、顔の中心に光が集まって肌に立体感が生まれ、かわいいだけじゃない。大人っぽさも持ち合わせた、より魅力的な表情になれるんです。これはコントゥアリングといって、通常ならシェードカラーとハイライトを使って骨格を引き立てるテクニックですが、そんな難しい技に頼らなくてもずっと簡単で自然、かつ今っぽく仕上がります。リップの色を変えるほどの強い変身力はないけれど、肌は顔の広範囲を占めるポイント。丁寧に作ることで、最も確実に品が出ます。同時に、僕は今年、メークは“骨格感”への意識が高まると予想しているので、トレンドを押さえることもできると思いますよ。

先ほど、KUBOKIさんがおっしゃっていた“日本人女性がもつ世界に誇れる美しさ”を、具体的に言うと?

  可愛らしさはもちろん、凛とした佇まいや肌の美しさもどんどん魅力的になっていく。ビューティからファッションまで意識の高さも世界トップクラスだし、世界基準で“いいね!”と思われるポテンシャルを、日本人女性にはたくさんもっています。僕は今、そんな日本人女性の魅力を日本の“モード”だと捉えています。もう海外のモード誌を見て外国人の真似をする必要もないし、黒髪や切れ長の目元や着物といった和のイメージに捉われることもない。日本特有の女性らしさや美しさを感じさせるモードなメークを今年に限らず、提案していきたいと考えています。

 

最後に、KUBOKIさんの今年の目標を教えてください。

 今はヘア&メークアップアーティストとして活動していますが、僕はもともと美容師。いつかは自分の“サロン”を持ちたいな、って思うんです。サロンで働く醍醐味は、エンドユーザーの反応をダイレクトに受け取れるところ。お客様が別人のように変身して、嬉しそうに帰っていく姿を間近で見たいんです。自分でも「欲しがりだな…」って思いますね(笑)。

けれど、僕が実現したいサロンは今ある美容室とは違っていて、ヘア&メークとしての経験を積んだからこその知識や技術、クリエイティビティを活かせる場所にしたい。今はそのコンセプトや形態は具体的に浮かんでいないけれど、少しでも前進できればと思います。

 

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_DSC74842-KUBOKIさんは元々美容師をされていたんですよね?

 

そうなんです。学生時代に通っていた床屋のお兄さんがやたらとカッコ良かったんですよ。それで、めちゃくちゃ憧れて。人の髪に施術を加えるのも得意で、よく友達を家に呼んでカラーリングやストレートパーマをしていたんですが、それも純粋に楽しかった。それで、自然と美容師を志すようになり、高校卒業後に美容専門学校に進学しました。実は、専門学生時代は成績があまり良い方ではなく、どちらかといえば劣等生だったんです(笑)。でも、勉強を進めるうちにヘアデザインをすることでダイレクトにお客様に喜んでもらえる美容師という仕事がどんどん魅力的にうつっていった。いつしかすっかり美容師の仕事に魅了されている自分がいました。技術もどんどん上がっていき、卒業時のコンテストでは3位に入賞することができたんです。嬉しかったですね。

 

-そこから一転、ヘア&メイクを志すようになったきっかけはなんですか?

 

サロンに勤務していた頃、ふらっと資生堂BC研の作品展を見に行ったんです。世界的に活躍する名だたるアーティストが出展していたのですが、有無を言わさず素晴らしくて、いい意味で圧倒されたんです。その日を境に、急激にヘア&メイクという仕事に惹かれていきました。美容師はカットという引き算の行為でその人の印象を輝かせていくのですが、ヘア&メイクの仕事は相手の魅力を引き上げるために色や技術を足し算することもできる。それってすごいことだなあと思ったんですよね。自分の中では今でも美容師でいたいという気持ちがあって、いつかは自分のサロンを持ちたい。そんな夢を抱いているんですが、それでも、一度、メイクの勉強という寄り道をてみるのもいいかもしれないと感じて。サロンワークを始めて3年ほど経ったところで、資生堂SABFAメーキャップスクールに入学しました。そこで多くのことを学び、卒業後はヘア&メイクアシスタントに。師事した方が海外帰りだったこともあり、学校では決して学ぶことができないような世界レベルの技術をたくさん見てとることができました。これは、僕の人生にとって宝物だと思っています。アシスタント時代は作品撮りも積極的にして、師匠にチェックしてもらっていました。

 

-サロンワークとヘア&メイクの仕事の違いはどんなところにありますか?

 

サロンワークは、お客様を待つ側じゃないですか。でも、ヘア&メイクの仕事は自分から現場に出向いていく。その時点でもうスタンスが違いますよね。それに、世間に与えることのできる影響力も違う。ヘア&メイクでいる方がより自分のセンスやオリジナルのデザインを発信しやすい点でも両者はまったく別物だと思います。どちらも、同じくらい好きなんですけどね。

 

-メイクの仕事のどのようなところに魅了されましたか?

 

たかがメイク、されどメイク。メイクのチカラには計り知れないものがあると思うんです。ベースメイク一つでその人の表情がはつらつとしたり、アイライン1mmの差で新たなキレイを引き出すこともできる。大げさな話ではなく、その日僕が提案したメイクが、時として人生をも変えてしまうくらい相手を幸せにできる可能性だってあるんです。そう思うだけでひとつひとつの現場がエキサイティング。一瞬、一瞬が勝負の連続です。余談ですが、何年か前にボランティアで病院に行き、入院している高齢の方の髪をカットしたんですよ。はじめましての瞬間はあまり元気のなかったその方が、カットが終わった後は少女みたいな笑顔で去って行った。キレイでいることは世代を問わず女性にとって大切であることを実感した瞬間でしたね。その時感じた感動をいつも胸の片隅に置いて日々の現場にのぞんでいます。

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-今気になっているメイクのテンションはありますか?

 

ちょっと前にベルリンを旅したんですよ。そうしたら、現地の女性が自分に似合う赤リップを上手に取り入れていた。ドイツではその人のパーソナリティと見た目の印象がマッチしていることがおしゃれだとされていると聞いて「たしかに」と納得したんです。でも、その視点から日本の女性を見たときに、日本の女性の自由なメイクも逆に新鮮だなと思って。みんな、自分の性格に見た目を合わせようとかしないで、シーンや気分に合わせてガンガンしたいメイクをするじゃないですか。それって、おしゃれに対してすごくフレキシブルですよね。メイクって、本来そんな風に自由に楽しむものだと思うんですよ。ちっちゃくまとまったり、エリートなんかじゃなくていい。その人のネガティブを消すのではなくポジティブを広げていく。そんなテンションのメイクをいろんな場でどんどん提案していけたらいいですね。

 

-ヘア&メイクとしてやりがいを感じる瞬間はありますか?

 

女性のヘア&メイクはもちろん楽しいのですが、男性のヘア&メイクもかなりやりがいがあるんですよ。髪が短い方が多い分、ヘアスタイルもベースとなるカットから起こしたりなんかして。番宣などで現場に入ると、その方の出演している番組や映画のイメージに合わせて雰囲気を組み立てていくのですが、その過程がアーティストというより職人としての要素を求められているかんじがして、腕が鳴ります。

 

-ヘア&メイクのインスピレーションはどこから湧いてくるのですか?

 

海外の雑誌にはざっとでもいいので目を通すようにしていますね。あとは「FASHION GONE ROUGE」。海外のキャンペーンヴィジュアルなどがチェックできるんですが、かっこいいものだらけ。ちょっと空き時間ができるとつい覗いてしまいます。

 

-オフの日は何をして過ごすことが多いんですか?

 

実は先日、仕事仲間とバンドを結成したんですよ。パートはギターでジャンルはロック。こう話すとみんな「あくまで趣味のお遊びでしょ?」みたいな顔して聞くんですが、本気で本格的にやってます。すでにオリジナルの楽曲の作曲もしていて、純粋に音楽を楽しんでいます。リフレッシュにもつながるし、すっかり生活の一部になっていますね。それから、体を動かすのも大好き。月に1回のペースでフットサルに参加しています。

 

-その他に趣味はありますか?

 

靴磨きでしょうか(笑)。僕、靴が大好きなんです。我ながら、結構コレクターですよ。しかもレザーやスウェードなど、手間がかかる素材のものに目がないんです。手入れをきちんとすれば長く履けると思うと、つい、靴磨きが入念になってしまいますね。

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-今後トライしてみたいことはありますか?

 

チャンスがあれば、ブラシやスポンジなどのツールやヘアプロダクトの提案、コスメのディレクションに挑戦してみたいです。男性だからか、こだわりのあるツールやコスメにグッとくることが多いんですよね(笑)。手元にものすごくフィットして仕上がりがテクニックいらずでおしゃれになる。そんなアイテムを世に送り出せたらいいですよね。それから、僕の原点はやっぱり美容師。いつかは自分のヘアサロンをオープンできたら本望です。

 

KUBOKI

東京美容専門学校を卒業後、サロン勤務を経て、資生堂SABFAメーキャップスクールを卒業。アシスタント経験を経て、デビューを果たす。雑誌やセミナー、ライブのヘアメイクなどジャンルを問わず幅広く活躍。最近では、郷ひろみ氏の担当アーティストとしても注目を集めている。