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KEIZO KURODA

インタビュー

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Q黒田さんは元々、美容師をされていたんですよね?

そうなんです。実家が美容室だったので、気づけば自然に美容師を目指していました。専門学校を卒業した後、都内のサロンで約10年ほどサロンワークをしていたのですが、ヘア&メイクのコンテストに出場する機会があったんです。自分でも驚くことに、その大会で優勝をいただいたんですよ。それどころか、用意されていたその他の賞も総ナメにしてしまって。すごいでしょ(笑)?その頃、BS研の方々のショーに足を運んだりもするようになって、ヘアスタイルだけでなく、ヘアとメイクのトータルバランスについて考えるようになったんです。そんな風に過ごすうち、メンズの広告の撮影のメイクアップを担当。そこから徐々に雑誌の現場に呼んでいただくことが増えていきました。美容師とは全く違う作品を作り上げていく世界にどんどん魅了され、ヘアサロンを退職。マネージメント事務所に所属して、ヘア&メイクアップアーティストとして人生を歩んでいくことに決めました。

 

Qヘア&メイクアップアーティストとしての転機はありましたか?

僕の中で大きかったのは、やはり、浜崎あゆみさんとの出会いですね。専属ヘア&メイクとして長きに渡りCDのジャケットからテレビ、コンサートまで全てのヘア&メイクを担当させていただいたのですが、クリエイティブの意味でも、現場での無駄のない立ち振る舞いを身につけるという意味でも、一瞬一瞬が刺激的であり、日々が学びの連続でした。ライブでは最初の頃、流れについていくのがやっとで。でも、あの頃鍛えられたおかげで、今でも、早替えの達人でいられるのだと思います(笑)。つい先日も着物雑誌の撮影があったんですが、凝った日本髪のヘアチェンジもわずか5分でできちゃうんですよ。これは、美容師時代に1日30人カットして、その間にヘアアレンジもバンバンしていた経験も生きているのかもしれませんが。(笑)。余談ですが、神田うのさんの結婚式のヘア&メイクをさせて頂いた時も、文金高島田を地毛で完成させました。

 

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Qアーティストとして日々心がけていることはありますか?

日々、感謝の気持ちをどこかに持ち続けることですね。その日、お仕事をいただけているのもそうですし、その現場のスタッフと一緒に働かせていただいていることにも「ありがとう」。そう思って過ごすだけで、広告にせよ、雑誌にせよ、現場の空気が良くなりますよね。これは母の教えでもありますし、自分でも感じていることなのですが、人は結局、一人では生きていけませんから。周囲の方とのコミュニケーションは大切にしていきたいと思っています。口に出して言わないと伝わらないことも世の中にはたくさんありますから。座右の銘は「伸びるほど、頭を垂れる稲穂かな」です。

 

Q黒田さんといえば“女優メイク”という言葉が真っ先に浮かびますが、女優さんをご担当される上で意識していることはありますか?

女優さんだから特別なことをするということはなく、基本、どんな現場でも同じスタンスで臨むようにしています。仕事に優劣なんてありませんよね。その上で、女優さんをヘア&メイクさせていただくときは、その方の顔のパーツの特徴をよく見極めて、ベースメイクにおいてもポイントメイクにおいても絶妙な足し引きを繰り返します。そして、その方の内面性が最も輝きを放つ終着点を見つけるようにしていますね。よくご一緒させていただく方でも、体調や気候など、コンディションによって肌の調子や顔色が変わったりするので、朝、顔を合わせた瞬間に汲み取るように心がけています。僕の洞察力、結構すごいんですよ(笑)。そんな風に持てる力をすべて注ぎ込んでヘア&メイクを完成させ、女優さんがカメラ前で自由に泳いできらめきを放ってくれるのを目にするときは、本当に嬉しく思います。

 

Qキャリアを長年継続していく秘訣は何でしょうか?

ありきたりなことのようですが、やはり、地道な努力の積み重ねですね。どんなに経験を重ねても、仕事の帰り道に「もっとあそこをこうしておけばよかったな」という思いが頭の中をよぎることもあります。それがたとえ、気にしないようにフタを閉めてしまえばいいようなとりとめのないことでも、きちんと反省するよう心がけていますね。そうすることで、次の現場にその反省を生かすことができる。その繰り返しが、日々のブラッシュアップにつながり、長く仕事を継続していくことにつながるのではないでしょうか。

 

Q黒田さんのインスピレーションの源はなんですか?

ファッションもビューティも、海外の雑誌には一通り目を通すようにしていますね。スクラップしたりしなくてもサッと頭の中をよぎらせておくだけで、ある日突然、ヘア&メイクのアイデアになったりするんですよ。それから、これは完全に我流なのですが、趣味のフラワーアレンジメントもインスピレーションを運んできてくれることが多いですね。多い時は週に1回、生花を活けて自室に飾っています。配色やシルエットにハッとさせられることがよくありますよ。

 

Qご自身が思われるヘア&メイクとしての“強み”はなんだと思われますか?

その人の本質を美しく引き立てることを軸に、トレンド感をほどよく意識したナチュラルであったり、モード感であったりを表現できることだと思います。例えばベースひとつとっても、気になる部分をやみくもにカバーするよりも素肌がちょっと透けて見えるくらいの方がその人の魅力が引き立ったりすることも多いですよね。常に、被写体がナチュラルに輝ける表情を作ることを心がけています。

 

Qオフは何をして過ごされているんですか?

スイッチを完全に切り替えて、プライベートを充実させるのに必死(笑)。夜は友達と食事をしたり、習い事にも出かけます。料理を作ることも多いですね。 和食、洋食、中華…なんでも作りますよ。味もですが、色彩の美しさにもついこだわってしまいます。目に触れるもの、口に入れるものはすべて美しくあることも、日々の美的センスにつながると思います。それと、これはオンオフ問わずなのですが、ジムで汗を流したりもします。バイクをこいで有酸素運動をした後、マシンで筋トレをするのがお決まりのコース。体力と精神力の強さは比例していると思うので、どんなに忙しくてもなるべく欠かさないようにしています。

 

Q今後、挑戦してみたいお仕事はありますか?

もちろん、たくさんあります。でも、僕の持論としては、やりたいことは心に秘め、それに向かって努力をして行く事で願いは叶うと信じています。だから、敢えて、胸の内にしまったままにしておきますね。でも、この先の生涯ヘア&メイクとして生きることは心に決めています。仕事が好きで好きで仕方がないんです(笑)。きっと、この仕事が僕の天職。手がガタガタ震えてアイラインが引けなくなるまで、続けていきたいと思っているので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

 

黒田啓蔵

東京都出身。美容師としてキャリアを積んだ後、ヘア&メイクアップアーティストに転身。宮沢りえ、黒木瞳、檀れい、石川さゆりなどのヘア&メイクを手掛け、その高い技術と圧倒的な感性は黒田独自の“女優メイク”として名高い。