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ThreePEACE

KAZUHISA KURUMISAWA

インタビュー

いつからヘアメイクを志望していたんですか?

それが、最初はちっとも目指していなかったんです。それどころか僕、実はずっとカメラマンになりたくて、高校を卒業した後、カメラマンのアシスタントをするようになって、ビューティの撮影の現場に足を運ぶことも増えたんですが、その時点でもまだ「ヘア&メイクになりたい」というヴィジョンもなくて。

当時はただただ、カメラマン、スタイリスト、ヘア&メイク、モデルがそれぞれ自分の力量で勝負して一つの作品を作り上げていく過程に感動を覚えていました。一つの作品が仕上がったとき、スタッフの皆さんに漂うハッピーオーラもすごくて、いつか独り立ちしてこの中の一員になれたらいいなと思っていました。もちろん、カメラマンとして(笑)


−ヘア&メイクを志すようになったきっかけを教えてください。

僕がカメラマンアシスタントをはじめてしばらく経った頃、クリエイターたちの間に海外留学ブームが巻き起こったんですよ。それで、僕の師匠もニューヨークに渡ることになったんです。「君も着いてくる?」とお声かけ頂いて、正直迷ったのですが、一旦、師匠と離れてもう一度自分の将来を見つめ直したい。そんな思いから、日本に残ってリセットすることにしたんです。と言っても特にすることもなくぼんやり過ごしている中で、偶然、黒田啓藏さんと出会ったんです。

のちに僕の師匠になる方なんですが、プライベートで会ったので、どんな仕事をされている方なのかは全く知らなくて。ただ、すごく温かいオーラを放っているのはすぐに感じ取り、その人間力に惹きつけられていきました。そんな風に友人として過ごしていたある日、黒田さんから電話をいただいたんですよ。「仕事の現場に忘れ物をしちゃたんだけど、時間があったら届けに来てもらえない?」と。当時の僕は、言ってみればニート状態(笑)。時間ならいくらでもあったので、すぐに車で忘れ物を運びに向かったんです。その目的地がとあるスタジオで、働いている黒田さんの姿を目にして「この人、ヘア&メイクさんだったんだ」と初めて知ったんです。

そこからちょこちょこ黒田さんの現場のお手伝いをさせていただく機会が増えてきたある日、「アシスタント、やってみない?」とお声かけをいただき、少し悩んだ末に、そのチャンスに乗ってみることにしました。小さい頃、母親のドレッサーのコスメを触るのが好きだったなあなんて記憶をぼんやりと思い出したりしながら。

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−ゼロベースの状態で、ヘア&メイクとしての人生のスタート地点に立ったんですね。

はい。カメラマンのアシスタント時代にヘア&メイクさんにはよくお目にかかっていたのでどんな仕事なのかはおおよそ見当がついたものの、知識も経験も全くのゼロ。憧れだけでは叶えられない仕事だとはわかっていたのである程度は覚悟を決めたつもりでいましたが、最初の1年は現場で存在感を消して影武者に徹することに必死でしたね。その後は、堂々と背中を見せてくれる黒田さんのテクニックや現場での立ち居振る舞いをひたすら吸収。カラカラのスポンジのような状態だったので、もう、吸い込む、吸い込む(笑)。

黒田さんのスゴイところは、決して枠にとらわれず、自分の経験値や感性を信じてメイクを作り上げていけるところ。今でこそ当たり前になってきましたが、それがたとえアイブロウペンシルでもアイライナーにしたいと思えばそうするし、ヘアアクセなんて、近場にある布なんかで器用に作っちゃったりするんですよ。とにもかくにもフレキシブルで、真面目すぎるくらい真面目な僕にとっては目から鱗。毎日がいい刺激の連続でした。ズブの素人からの出発だったので、それなりに心が折れそうになる日もありましたが、黒田さんがこまめに気にかけたくださったこともあり、デビューするまでの4年間を無事に全うすることができました。

以降は、これもやはり“気遣いの人”である黒田さんの背中を見て育った経験を生かして、誰もがハッピーな気持ちで仕事に取り組める現場作りを常に意識しています。

 

−ヘア&メイクのインスピレーションはどこから降りてくるんですか?

ヴィクトリアシークレットだったり、英国版のVOGUEだったり、海外のSNSはこまめにチェックしていますね。ヘアスタイルの分け目にグリッターを塗っているスタイルなんかものすごくカッコよくて、いつか自分の作品にも取り入れてみたいと思いましたね。あとは、何より、街の風景がいい刺激をたくさんくれる。

ビルボードや電車の中吊をチェックすれば今、みんなが気になっていることが一目でわかるし、街ですれ違うおしゃれな人もメイクのアイデアにつながる引っ掛かりをプレゼントしてくれます。特にエネルギッシュだと思うのは、表参道。表参道の路上でキョロキョロしている人を見かけたら、きっと僕かもしれません(笑)。

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−ということは、オフの日は街を歩くことが多いんですか?

ところがそうでもなくて、最近はもっぱら自宅で黄昏ていますね。何年か前まではよく街に出歩いていたんですけど、少し前に引っ越した家のテラスが広くて、日当たりがいいので、すっかり安息の地になってしまって。そこでスイッチを完全にオフにしてぼんやりするのが至福の時間です。それと、ここ最近はジムに通うようになりました。これは、オンオフ問わずで、多い時は週4回くらい足を運ぶのですが、通い始めるとハマるんですよね。

まず、有酸素運動で体を慣らしてからマシンで筋トレをしたり、バランスボールを使ってストレッチをするのがお決まり。やっと腹筋のワンパックと側筋ができてきたので、上半身をもっと鍛え上げてみたいですね。仕事においても、体力作りは大切だと思いますし。

 

−他にも何か、趣味はありますか?

趣味というかこれはリフレッシュ方法かもしれませんが、僕、お風呂が大好きでどんなに疲れて帰ってきても必ず湯船に浸かるタイプなんです。朝はぬるめのお湯で数分、夜は熱めのお湯で半身浴をするのが日課。この時、バスソルトと一緒にトルマリンの原石を入れているんですが、これを沈めると不思議とお湯にとろみがつくんです。

トルマリンの浄化作用も相まって、いい意味で気持ちをリセットすることができるので、オススメですよ。トルマリンは御徒町で偶然購入したんですが、何度使っても減らないところもコスパがいい。ちなみに、1,600円でした。

 

−これから提案したいメイクや挑戦してみたい仕事はありますか?

東京オリンピックが迫ってきているせいか、個人的には日本に古来からある色彩が気になっています。歴史的記録によると、かつて日本人は赤と黒と白の3色のみでメイクを構築していたようなのですが、そのエッセンスとトレンド感を融合させたスタイルを提案してみたいですね。偶然にも今季はまた赤リップがトレンドを席巻しそうなので、リップ主役のメイクも作りたいと、うずうずしています。それから、性格的に口ベタではあるのですが、これまで以上に一般の方々に向けたメイクセミナーも強化していきたいですね。参加者一人一人を丁寧に見て回れるようなアットホームな空気感の中、アドバイスをしていくのが理想です。

あとはやっぱり、ベースメイク。これは、僕の強みでありヘア&メイクとしての武器であると自負しています。仕上がりは、トラブルをミニマムにカバーして、美素肌を作り込み、引き立てる。そんなイメージ。ベースがキマるとポイントメイクも格段に映えるという意味でメイクの要とも言えると思います。このテクニックは、雑誌でもセミナーでも、どんどん打ち出していきたいですね。女性にとって、肌は口ほどにものを言うパーツですから、少しでも世の女性のお役に立てたら本望です。

 

胡桃澤和久

黒田啓蔵に師事後、独立。ビューティ誌や書籍、広告などで活躍するほか、メイクアップセミナーにも積極的に参加。優しく穏やかな人柄はどの現場でも愛され、ムードメイカー的存在でも。愛称は“くるくる”。