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NAKAYAMA TOMOE

インタビュー

2017年、メークのトレンドはどう変わると思いますか?

予想は“アンチトレンド”です。時代ごとに異なるひとつの美の定義をみんなが追うのではなく、自分を魅力的に見せるメーク術を各々が模索する流れになればいいなと思っています。というのも、私自身、今年は個々を満足させられるメークを今まで以上に提案したいから。女性は特に、髪を切って成功したとき、顔立ちも気分もぱっと明るくなりますよね? メークを通して、あの表情を導き出せれば最高ですよね! その人の隠れた個性や美しさを無理なく引き出し、幸せな気分になれるお手伝いができればと思います。

 

 

その想いを実現するために今、取り組んでいることはありますか?

 私が素敵だと思っても、メークをした相手が満足しなければ意味がありません。なので、普段から独りよがりにならないように注意しています。それに加え、今年は洞察力や人間力を養おうと思っています。以前よりも自分をオープンにして人に会い、相手が思っていること、感じていることをさらに深くまで汲み取れる人間になりたいかな。あとは、読書をしたり、映画や絵画を見たり、街に出かけて素敵な風景をたくさん見たり……。これまでも続けていることですが、さらに意識的に行いたい! “これまでに見たもの、得た知識、感じたことをかき乱して一度沈殿させる。時間が経って心が落ち着いた頃、不純物が取り除かれ、上澄みだけが残る”。そういった内容を昨年末、テレビ番組で作詞家の松本隆さんがおっしゃっていました。松本さんは、その上澄みだけを取って歌詞を作るそうです。これまでの自分のやり方を振り返ってみても、その過程に共感が湧いたので、今年はインプットとアウトプットのバランスがとれた生活を送りたいと思います。センスやオリジナリティはもちろん、洞察力や人間力の向上にもつながると信じています。

 

2017年は具体的に、どんな仕事に挑戦したいですか?

  モード誌とか、外国人をメークするような仕事もしてみたいけれど、今いる場所を極めたいという想いも強いです。これまでも技術的なこと(特に、色と質感のバランスや、肌のタッチ、アイラインやまつ毛など線で表すものの繊細さ)にはプライドをかけて取り組んできたけれど、今年はその先の何かを表現できるようになりたい。具体的ではないけれど、理想はオードリー・ヘップバーンやマリリン・モンローの作品。ぱっと見ても目にとまって意識に残り、時代を超えても古臭くならないものを作り上げたいんです。それは、昔から変わらない私の軸でもありますね。そういう一枚の絵の美しさを追求する仕事にキャスティングされるためにも、今年は得意とする分野やテイストにも磨きをかけ、脱・オールマイティを狙おうとも思っています。

 

最後に、2017年の個人的メークブームを教えてください。

 もともとオレンジが大好き! この春からオレンジのアイテムや質感、色合いの幅がぐんと広がり、“オレンジメークがフィットする時代が来た!”と、密かに喜んでいます(笑)。あとは、ベージュチークですね。チークを効かせたメークよりも、今は隠し味的に使った表情に惹かれることが多いんです。仕事内容を問わず、出番が多くなりそうな予感です。

 

 

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Qヘアメイクに興味を持ち始めたのはいつ頃のことですか?

 

どうやら小学生のときみたいなんです。というのも先日、小学校の卒業文集の将来の夢のところに「ヘアメイクさん」って書いてあるのを発見したんですよ。これには、自分でもびっくり。当時愛読していた雑誌の読み物ページでいろんな職業が取り上げられている企画があって。その職業紹介の中でヘアメイクのお仕事が紹介されていたんです。今思えば、あの時にその記事を読んで憧れを抱いたのがヘアメイクとしての人生を歩む原点だったのかもしれません。その後、中学に進学した頃は裏原ブームの全盛期。トレンドに興味津々で友達と一緒に必死で追いかけて。ファッション誌のメイクページを見よう見まねでメイクをするようになったのもちょうどこの頃のこと。眉を整えて、リップやマスカラを塗って。失敗を繰り返しながら、お友達とコスメの最新情報を交換したりするうちにそれなりに上達して。楽しかったですね。でも、だからと言って高校3年生で進路を迫られた時にすぐにヘアメイクになろうとは考えなかった。頭の片隅で気になりつつも、その年の6月くらいから受験勉強を始めて、なんとなく大学に進学することにしたんです。

 

Q大学では何を学んでいたんですか?

 

国際関係学を学んでいました。キャンパスライフはそれなりに楽しかったものの、それよりもモヤモヤの方が断然大きかった。昔からどこか生真面目なところがあって、惰性で大学に通うことが「何か違う」気がしてたんです。同時に「私、本当は何がしたいんだろう?」と、何度も自問自答して過ごしていました。そうこうするうちに「やっぱりヘアメイクの勉強がしてみたい」という想いにたどり着き、大学と夜間のメイクスクールのダブルスクールをスタートさせたんです。そうしたら、それが自分で想像していたよりもっとずっと楽しくて。もう歯止めがきかないくらい、ヘアメイクという仕事の魅力にどんどん引き寄せられていった。大学2年生の前期が終わる頃には、はっきりと「ヘアメイクの勉強に専念したい」という気持ちが固まりました。そんな中、夏休みで実家に帰省したとき、決死の覚悟でその思いを両親に打ち明けたんです。それまで高い学費を払ってもらっていたこともあり、「せめて大学は卒業しなさい」と叱られると思っていたのでドキドキしていたのですが、思いの外、父が「自分が決めた道を進みなさい」と背中を押してくれたんです。純粋にとてもうれしかったし、感謝の気持ちでいっぱいになりました。きっと両親は「こうと決めたらこう!」という性格をわかっていて、そんな風に応援してくれたのだと思います。

私、なかなかの頑固者なんですよ(笑)。

 

Qその後、どのようにヘアメイクへの道を歩み始めたんですか?

 

専門学校を卒業するにあたり、就職活動を始めました。一言にヘアメイクと言ってもコスメブランドに就職したり、結婚式場に就職したり色々な選択肢があるのですが、私は雑誌や広告をフィールドにするヘアメイクを目指したいと思ったんです。とにかく現場を覗いてみたくて、それなら、すでに憧れのフィールドで活躍しているアーティストの方に弟子入りしようと思い、今の所属事務所であるスリーピースに電話をかけてみた。そしたら偶然、アシスタントを募集しているアーティストさんがいらして、運良くつかせていただきました。

 

Qアシスタント時代の思い出は何ですか?

 

師匠にはトータルで3年半、つかせていただいたんですが、そこで技術も仕事に対する姿勢も1から全てを叩き直していただいた気がしています。目で見て、肌で感じて師匠のセンスや技術を自ら学び取っていかなければならないので、現場では一瞬たりとも気が抜けませんでしたね。師匠が私にかけてくれた言葉で今でも良く思い出すのは「感謝の気持ちがあれば大丈夫」。仕事の現場はもちろん、プライベートで誰かと過ごしているときも大切にしたいと思っている大事な言葉です。

 

Qヘアメイクとしてデビューしてから心がけていることはありますか?

 

自分の中で、1年ごとにテーマを決めて努力するようにしています。その甲斐があってか、徐々に自分がヘアメイクとして成し遂げたいことのヴィジョンが明確になってきた気がしています。

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Qインスピレーションの源はなんですか?

 

仕事の時は、自分ののせた色が人の目にどう映るかという色の出方を大切にして、日々現場に望んでいます。メイクの色使いについては、木々の緑や空のコントラストなど、自然界に当たり前のように存在する色合いからメイクのヒントを得ることが多々ありますね。最近は、絵本やイラストレーターさんの画集を手に取る機会が増えて、ページをめくりながらその繊細な色彩にインスパイアされています。今気になる作家は酒井駒子さん。彼女の描くどこか寂しげな人物の表情に惹かれて、いつか何かの表現につながったら素敵だな、と思っています。気になったアートは頭の片隅にポンと置いておいて、いつでも取り出せるように意識。そうして培った感性を思う存分発揮して、いつか「これ、中山さんのメイクだよね?」と感じてもらえるような独自の感性で勝負していけたら、本望ですね。

 

Qヘアメイクをする上でトレンドは意識しますか?

 

ヘアメイクは首から上だけで表現するものではなくファッションやその方のライフスタイルとリンクさせて構築していくものだと思うので、そういう意味では少なからず意識しているのかもしれません。でも、ただ追いかけるのは性に合わないんですよね。それよりも、モデルさんが好きで心地いいと思うヘアメイクを提案していく方がずっと大切な気がする。これはあくまで私見ですが、このところ、トレンドはかなり薄まってきているのではないでしょうか。これからはもっと個性をエンジョイするムードが高まっていく気がします。

 

Qプライベートは何をして過ごされていますか?

 

私、知識欲がある方で、とにかくいろんなことをインプットしたくて。だからか、読書はよくしますね。そして、そのとき読んでいる本に結構影響を受けるタイプです(笑)。映画館に足を運ぶことも多いかな。それから、最近ハマっているのは自分をいかにリラックスさせてあげるかということ。夜眠る前の時間をなるべく大切にしています。オイルをつけてマッサージをしたり、ベッドに入る前は間接照明の中で過ごしてみたり。それだけで、眠りがすごく上質になる気がして、いいんです。何もせず、ただひたすらボーッとしていることも多いですよ(笑)。余談ですが、小学生の頃は陸上や新体操を習っていて、中学ではバレーボール部に所属。学生時代はアクティブな方でした。

 

Q今後、どんなヘアメイクを目指していきたいですか?

 

ポイントメイクもその人らしさを出す上でもちろん大切だけど、それよりも見る人の心を掴むのはベースメイクだと思うんです。これだけは一目で良し悪し、好き嫌いがジャッジされてしまう。だから、ベースメイクの質感で魅せていくメイクを目指したいですね。決してトラブルのカバーに翻弄されるのではなく、その人らしさが醸し出せるのであれば、生っぽい質感で素肌の持ち味を生かしてあげる。その上で、ポイントメイクをアクセサリーをあしらうようにのせていけたら素敵ですよね。自分の感覚として、この一年は私にとってヘアメイクとしてのリスタートをきるべき時だと思うんです。より飛躍できるように自分自信をもっともっと高めていけるように努力するので、どうか見守っていただけたら嬉しいです。

 

中山友恵

ビューティ誌やファッション誌でカバーやメイク企画を数多く担当。類い稀なる感性とセンスに加え、どんな仕事に対しても全力で向き合う姿勢でモデルやタレントからの支持も厚く、各所からまさに引っ張りだこの存在。スキンケアやマッサージに関する知識もピカイチ。「友ちゃん」の愛称で親しまれている。三重県出身。